(ツチバチ上科)ツチバチ科 10種 工事中

狩バチ表紙

スズメバチ

ベッコウバチ

 ツチバチは種類が少なく、過去の更新で判別に問題は無いと思っていたのだが、新たな写真と古い写真全てを見直してみると、変更が数多く出てきてしまった。同定ポイントを、翔脈(羽の模様と色合い)、腹部の帯模様(黒色の幅も大きな同定要素)、胸部の模様(個体差有り)、触角の形状(ヒゲの長さにも違いがある)などを徹底比較してみた。全ての条件を照合できる写真は僅かで、中には幾つかの要素が一致しただけで名前を割り当てており、誤同定は少なからずあると思われる。個別ファイルは古いファイルを使用、後日更新することにした。

写真下の記号は撮影日です =2005〜Z=2014/1〜C=12/01〜31日

ドロバチ

ツチバチ

トックリバチ

アリ

フタオビドロバチ

その他の狩バチ

ヒメハラナガツチバチ♀

Q913

Ra09

 ヒメハラナガツチバチのメスは他のツチバチと色い(黒色が強い)が異なることが分かり、比較的容易に分類できた。ただ、撮影角度や光線の加減などで雰囲気が全く異なってしまうので、結論付けるのに時間がかかった。メスは春と秋に発生するようで、6、7月にはほとんど姿が見られない。

Q817 ♀1

U422

U519

U602 ♀2

U819 ♀3 修正

V804a  修正

V804b

W411

X809

Y516-1

Y516-2

Y527-1

Y527-2

Z602

ヒメハラナガツチバチ♂

Q715 

Qa07

 ヒメハラナガツチバチのオスは、他のハラナガツチバチと趣が異なり、銀毛に覆われ、胸部に黄色の斑紋を有する。オスの発生数はメスに比べて少なく、時期については7、8月が中心であり、メスの発生時期とずれている。晩秋(10、11月)まで撮影した年は限られているので、いつ頃まで発生しているのかは、断定できない。

X804

V706-1

V706-2

V7

V721-1

V721-2

X827

X829

ハラナガツチバチ♀

V601a  修正

V601b

 ハラナガツチバチのメスは、当初銀毛の個体も含めていたが、見直した結果銀毛は全てヒメハラナガツチバチと判定、ハラナガツチバチは金毛に覆われている。オオハラナガツチバチやキンケハラナガツチバチも同様だが、腹部の帯模様の数や太さなどに違いがある。発生数は少なく、撮影した個体は全て6月上旬であり、どの個体も胸部の金毛が薄くなっている。

T608 ♀2 修正

V602-1 ♀3 修正

V602-2

ハラナガツチバチ♂

S415-1 ♂1 修正

S415-2

 ハラナガツチバチのオスは、メスに比べて数多く発生し、4月から6月にかけて活動している。メスは6月上旬に動き出し、6月が繁殖活動の時期のようで、手持ちの写真では6月以降のオスの個体は残っていない。6月のオスの個体だけは胸部の金毛が抜けて、光沢のある黒色がむき出しになっている。翅の透明度は高く、縁に濃い茶褐色の濁りがある。

U424-1

S415-3

S415-4

S507-1

S507-2

U424-2

U601-1♂2 修正

U601-2

X508-1

X508-2

X508-3

X512-1

X512-2

X512-3

オオハラナガツチバチ♀

R925-1 

R925-2

 オオハラナガツチバチのメスは、腹部の白帯が3本で、他のハラナガツチバチ(4本)と異なるので比較的判別しやすい。発生時期は手持ちの写真からすると全て9月で、ハラナガツチバチ、メスの6月と3カ月の開きがある。棲み分けと同じで、競合しないように発生分けが成り立っているのだろうか。発生場所も草地と森(重複もあり)に分かれている。

X927-1

S913

S916

T920

X913

X927-2

X927-3

Z908-1

Z908-2

Z908-3

Z908-4

オオハラナガツチバチ♂

R908

S913 ♂1

 オオハラナガツチバチのオスの腹部の白帯は4本でハラナガツチバチ(5本)と異なる。キンケハラナガツチバチも4本、翔脈(羽の模様と色合い)も近似しているが、オオは鮮明でキンケは透明度が高く不明瞭なので何とか判別がつく。疑問になるのがハラナガツチバチとの発生分けで、春型、秋型の違いの可能性は無いのだろうか。

X903-1

T901

U827 ♂2 修正

U905-1

U905-2

U904

U908

U913

X903-2

X903-3

Xa01

キンケハラナガツチバチ♀

X607-1

X607-2

 キンケハラナガツチバチのメスは他のメスとよく似ており、翔脈と腹部帯紋の形状などで判別してみたが疑問が取り除けたとは言い難く、誤同定もあるかもしれない。撮影数が多いとは言えないので断定できないが、初夏型と秋型に分かれ、初夏型の腹部帯紋は毛深で4本ともハッキリし、秋型の帯紋は細くて末端の帯は不鮮明で上面は途切れている。

Xa01-1

X624-1

X624-2

X825-2

X825-1

Xa01-2

X903-1

X903-2

キンケハラナガツチバチ♂

Q827-1 ♂1

Q827-3

 キンケハラナガツチバチのオスと思われる写真は8月から9月が中心であるが、それが発生時期として断定できるか定かでない。メスも9月にも発生するので9月が繁殖活動の時期なのかもしれない。V807の個体は、唯一人家で撮影したもので、他と撮影条件が異なるせいなのか、全体の色合いが違って見え、ことによると別種かもしれない。

X903-1

S908

S916

T904-1

T904-2

V807 ♂2 修正

X820-1

X820-2

X901

X903-2

X903-3

X903-4

X903-5

Xb01

アカアシハラナガツチバチ 訂正

V525♂

X513♂

 従来アカアシハラナガツチバチとしていた♂♀2個体を見直してみると別種と判定された。新たな個体を探してみると、アカアシハラナガツチバチの特徴(腹部末端近くにハッキリとした帯紋がある)を有するオスの個体が出てきた。翔脈(羽の模様)が不鮮明なので断定できないが、他に該当がなないので、明らかになるまでアカアシハラナガツチバチとした。

アカスジツチバチ  

W721♀1

♀2

 アカスジツチバチは数が少なく、今までに遭遇したのは2007年、2011年、2013年の三度である。2011年だけオス、メスが一緒に姿を見せて長く留まったが、後はメスだけですぐにいなくなった。限られた地域に常駐すると言うより、広いエリアを回遊しているようで、偶然顔を合わせたと思われる。荒川では希少種と考えたほうがよさそうである。

W721♂1

♀3

♀4

♂2

♂3

キオビツチバチ 

S712

T901

 キオビツチバチは、ほとんど花が咲かない荒れ地で見られ、地面に留まっていることがある。河川敷の荒廃が進み、昆虫全体が減少傾向にある中で、キオビツチバチは影響が小さく、2010年以降も変わらずに見られる。手持ちの写真からすると、メスの発生時期は6、7月と9月でオスと一致し、9月の写真の中に繁殖行動が記録されていた。

V609

V701-1

V701-2

V706-1

V706-2

X710-1

X710-2

X710-3

X720

X903

X907

キオビツチバチ♂ 

S904

U612

 キオビツチバチのオスはアカスジツチバチのオスと似ており、アカスジツチバチを2011年に記録するまでは、キオビツチバチの腹部斑紋の個体差に悩まされたものである。収集した写真による発生時期は6〜9月で、8月はメスと異なる。繁殖活動を目撃したのは9月だけであるが、メスの発生状況からすると、7月と9月の2回営まれるのかもしれない。

U619

U619

V707

V708

V709

V815

X614

X710

X903

Y712-1

Y712-2

オオモンツチバチ♀ 

Q715

Q827

 オオモンツチバチは2009年から多く見られるようになり、河川敷の荒廃が進む中で、活動領域が荒れ地が中心だったので荒廃の影響が小さく、2012年まで数多く出遭うことができた。7月から9月まで記録しており、ほとんどがオス、メス両者が一緒に見られた。コモンツチバチと似ているが、名前の様に腹部の斑紋に大小の違いがある。

W721

U905-1

U905-2

V722

V723

V815

W721

X725

X817-1

X817-2

X817-3

X817-4

Y917

Y917

オオモンツチバチ♂  修正

R826

U625

 オオモンツチバチのオスも2009年には何度か見られるようになり、2010、12年は数多く発生し、メスを取り巻いていた。オスの腹部斑紋には個体差があり、疑問を持ったが、コモンツチバチと根本的に異なり、肩(肩板)と胸部(小看板)に黄紋が有る無しでも判別がつく。動きが活発であるが、人の姿に動じないので、接近しやすい。

V716

V628

V709

V807

V811

X718-1

X718-2

X725-1

X725-2

X808-1

X808-2

X901

Y712-1

Y712-2

コモンツチバチ♀ 

V708-1

V708-2

 コモンツチバチのメスはオオモンツチバチのメスに似ているが、コモンの肩の紋は不鮮明で胸部には黄色い紋が無い。2009年までは滅多に見られなかったのが、河川の荒廃に呼応するように、オオモンツチバチとともに2010年以降荒れ地を中心に多く見られるようになった。競合する昆虫が減少したためとも考えられる。

V708-3

X808

X811

X813-1

X813-2

X817-1

X817-2

X901

コモンツチバチ♂ 

V708

V715

 コモンツチバチのオスは、腹部の細め帯状斑紋が特徴的で、個体差はあるものの見慣れてくると比較的判別しやすい。発生時期はメスとほぼ一致し、オス、メス一緒に見られることがほとんどである。オオモンツチバチと同地域、同時期に発生するが、競合することはなさそうである。繁殖活動は目撃しておらず、いつ行われるのか分からない。

X806-1

V716

V722

V806

V811

X806-2

X725-1

X725-2

X809

Y704

Y712

㋐キモンツチバチ ㋐キモンツチバチ

V721-1

V721-2

 本種は肩の黄紋からするとオオモンツチバチ♂に近似し、腹部の黄帯からするとコモンツチバチ♂に近似している。肩の斑紋については、コモンツチバチのオスは個体差があって帯状から斑点状まであり、本種の様にハッキリとした帯状のものは無く、別種と見るか、混血種と見るのが妥当と思われる。仮称でアラカワキモンツチバチと呼ぶことにした。