マルハナバチの比較 マルハナバチは公園や人家の庭木の花に集まってくる

 マルハナバチの種類は多そうであるが、地方性の個体や、希少種もあり、酷似したものもあって、判別は非常にに難しい。当館でも、同道巡りを繰り返し、いつまでたっても判別案ができ上がらず、誤同定を覚悟で、手持ちの写真を生かすことにした。調べて見ると、疑問が幾つか出てきた。手持ちの図鑑では「北海道産トラマルハナバチ・♀」とされている個体が、サイトによって「コマルハナバチ・♂」とされたり、「エゾコマルハナバチ」とされている。当館でも二度出遭っており、鮮明な翔脈が撮れたので、手持ちの図鑑の翔脈と比較してみると、「北海道産トラマルハナバチ・♀」と一致した。「コマルハナバチ・♂」とは、図鑑の絵柄が不鮮明なこともあるが、翔脈は一致しなかった。他にも、図鑑の絵柄では腹部の帯模様が確認できないが、手持ちの写真では薄らと帯模様が見られた。多くの疑問が残る中で、体つき(太り具合と頭部の形状)にも着目、図鑑のたった一個の絵柄を飛び越えて、独善的なマルハナバチの比較論を作成するに至った。2017年6月

クロマルハナバチ 19〜23o 20o前後 働きバチ12〜19o前後

マルハナバチ ♀16〜21o 16o前後 働きバチ10〜14o

 クロマルハナバチは、当館で出遭ったのは全て庭木のツツジ(サツキ)?の花であり、光線の加減や陰影・濃淡などの関係で鮮明な写真が少しも撮れず、コクロハナバチも同様で、分かったつもりで判別論を唱えるのは少々冒険である。しかし、手持ちの写真を生かすのは当館の役割と心得、来館者の方とのご批判、ご指摘を乞い、可能な限りの判別を試みた。

 コクロハナバチは、全体的にクロマルハナバチより小ぶりで、写真で判別するのは難しい。それでも、体つき(太り具合)に着目すると違いが見えてきて、分類してみると、少なくとも、クロマルハナバチとコクロハナバチの違いが見えてきた気がする。他のマルハナバチとはそれほど近似していないので、誤同定はそれほど多くないと考えている。

♀1 体は太めで頭部が大きめ

♀1 クロマルに比べ体は細めで頭部は小さめ

♀2 胸部背面は体毛が少ない

♀2 上の個体の翔脈

♀3

♀3

♀4

帯有♀1 腹部にハッキリした黄白色の帯が見られる

♀5 上の個体の翔脈

帯有♀2 上の個体の翔脈

♀6

帯有♀3 腹部の帯模様は個体差が小さい

♀7 翔脈(羽の模様)は撮影角度で違って見えるので判別しきれない

帯有♀4

働きバチ1

働きバチ1

働きバチ2

働きバチ2

働きバチ3

働きバチ3 同一個体でも光線の加減・撮影角度によって違って見える

働きバチ4

アカマルハナバチ (♂とするサイトもある) 15-20o

北海道産トラマルハナバチ♀ 2026o

 アカマルハナバチは、図鑑ではメスしか載っておらず、オスや働きバチがどんな姿をしているのか分からなかった。Webで調べてみても、メスと表記されているが、働きバチの名も付記されていて、結局は未知の世界となった。名前の様に胸部背面の長毛は赤色が強く、図鑑によると誕生から日数が過ぎると黄色を帯びて

 手持ちの図鑑には、トラマルハナバチのメスに、本州産?と北海道産が紹介されていた。北海道産は本州産と全く色合いが異なり、翔脈も違っていて、どう見ても別種だった。当館でも、荒川河川敷で、北海道産とされてい♀と、色合い、翔脈ともに図鑑と一致した個体を撮影した。、Webで検索してみると、近似した絵柄

♀1 体毛が朱色に近い

♀1 体毛が黄色に近い

♀2 腹部腹面は黒色が強い

♀2 腹部末端の長毛はオレンジ色をしている

♀3

♀3 顔の長毛は黄色に近い

♀4

ナガマルハナバチ ♀1923o 1720o 働きバチ1219o

トラマルハナバチ ♀2026o 1619o 働きバチ1018o

 ナガマルハナバチは、色合いがトラマルハナバチと近似し、判別が非常に難しい。翔脈がハッキリしていれば楽なのだが、手持ちの図鑑ですら不鮮明で、翔脈でも答えを出し切れなかった。顔や首周りに長毛が有る無しや、翅の陰影、腹部の柄など、幾つかの要素を比べて見て、ぎりぎりのところで判別してみた。

 トラマルハナバチの♀には北海道産と本州産があり、本館では別種と判断している。トラマルハナバチはナガマルハナバチと、よく似ており、色合いで判別するのは難しい。首から頭部・顔にかけての長毛に個性があり、大きな判別要素となった。翔脈も判別要素になるが、むしろ翅の陰影が目安となった。

♀1

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♀2

♀2

♀3

♀3

♀4

♀4

働きバチ1

働きバチ1

働きバチ2

働きバチ2

働きバチ3 翔脈と羽先(前翅・後翅が重なっている)の陰影

働きバチ3 翔脈と羽先の陰影

働きバチ4

働きバチ4

♂1

♂1

♂2

♂2

♂3

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