熊谷北部の妻沼町は、従来は独立していたが、今は統合されて熊谷市に含まれる。繁華街とは程遠い町並みに、市民が親しみを込めて呼ぶ「聖天様」がある。名所の少ない熊谷にとって強力なラインナップとなった。聖天様は平成15年から修復工事が行われ、22年に基本修復工事が完了、23年から一般公開されるにいたった。公開されて間もなく拝殿の機会を得て、可能な限り詳細に写真を撮ってきた。2012年5月には国宝に指定されたが、国宝に値する所以を存分に撮影できたので、国宝指定記念特集として写真を公開することにした。 修復で甦った中で最も価値が感じられるものは、本殿を彩る彫刻で、特に印象に残るのが子供たちの生き生きとした姿である。修復された本殿は1740年代に建造されたようで、江戸も終盤期にあって、徳川幕府が衰退の一途を辿る時期であり、施された彫刻は万民が願う理想郷だった。時代の転換は子供たちを犠牲にする社会からの脱却であり、江戸末期と現代は酷似し、多くの子供たちが犠牲になっている。今正に、子供たちが何の屈託もなくはしゃげる、理想郷に向けて方向転換が求められており、聖天様は正に道筋を示している。建造に携わった工匠は元より、修復工事に携わった人々の匠の業に、心より敬意を表したい。 尚、聖天山には、国宝には指定されていないものの、門や像など見応えがあり、追加紹介することにした。 2015年6月2日更新 |
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聖天山境内(聖天山の参道は妻沼街道から始まり、貴惣門、中門、仁王門と続いている) |
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1 武州妻沼聖天山 |
2 貴惣門 |
3 仁王門 |
4 本殿前 |
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国宝 歓喜院聖天堂・本殿(町の人は愛着を込めて聖天様と呼ぶが、正式名称は歓喜院聖天堂と呼ばれる) |
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1 歓喜院聖天堂 |
2 聖天堂正面外観 |
3 聖天堂側面外観 |
4 聖天堂内観彫刻 |
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