イトトンボ♂見た目分類

 

 イトトンボは種類が限られ、簡単に分類できる

 

と思っていたら、近似するがよく見ると違いが浮

 

き彫りになり、個体差もあって収集が付かず、分

 

類の目安を確定する必要があった。

 

 イトトンボの全面更新に当たって、1550枚

 

程の写真を見直し、分析した結果一定の不文律が

 

見えてきて、独断を交え、イトトンボオスの見た

 

目分類図を作成してみた。

 

@頭部は特徴があり、後頭部にある眼後紋(複眼

 

に隣り合った一対の白い紋)の大きさと形状、眼

 

後紋を結ぶ後頭条(若い個体は点模様などハッキ

 

りしないことがある)の有無など、同定の大きな

 

要素となる。

 

A胸部の模様は幾つかの近似種がおり、名前を確

 

定できないが、絞り出しの要素となる。

 

B腹部は模様のみならず太さも判断材料となる。

 

C腹部末端の模様は、それぞれに特徴があり、大

 

きな判断材料だが、種類によって他と酷似したり

 

個体差や撮影角度によって見た目が異なるので判

 

定は難しい。

 

D顔は個体差や光線の加減で多少の違いがあるも

 

のの大きな同定要素である。しかし、顔面を撮影

 

するのは難しく、撮影機会を増やす必要がある。

 

※一面だけでは誤同定となり、個体差(成熟度合

 

いでも差がある)や変異なども考慮する必要があ

 

る。

 

 

 

 

@クロイトトンボとオオイトトンボの成虫及び若いオスを紹介、成熟すると見た目が全く違うが、若い個体は近似している

 

クロイトトンボとオオイトトンボの未熟オスは色合いが似ているが、腹部の節をかたどる白紋の太さがクロイトは細く、オオイトは太い

 

Aクロイトトンボとオオイトトンボのオスの顔と頭部

 

Bオゼイトトンボとオオイトトンボのオスは酷似するが、着目表示と、体長がオオイト36ミリ、オゼイト33ミリで大きさが異なる

 

Cセスジイトトンボのオスは個体差があり、本館では記録していないがオオイトトンボのオスと酷似した個体もあるようだ

 

ムスジイトトンボとオオセスジイトトンボは個体差があり、当館では違いの分かる個体は記録していないが、色合いが全く異なるようである

 

Dアジアイトトンボのオスは個体差があり、成長過程でも色合いが異なるようである

 

Eキイトトンボのオスは成長過程で紋様が出ていないなどの違いがあるが、茶褐色系と緑色系の2系統あるだけで大きな個体差は無い

 

成虫と未熟との差は腹部先端側に黒色の紋様がハッキリ出ているかどうかの違いで、メスの未成熟との差はほとんどなく、腹部先端の膨らみ具合で判別