コシブトハナバチ(ヒゲナガハナバチ)の多様性とケアシハナバチの固有性

@ 花バチの翔脈比較をしていくと、ヒゲの長い花バチの中には、通常知られているヒゲナガハナバチ、下記で示した、ミクリヒゲナガバチの様に斑紋が3個が通常で、ここで紹介する、一般に知られる3種は近似した斑紋を持っている。一方、ケアシハナバチは前縁の接しない2個で、ヒゲナガハナバチと翔脈は明らかに違っており、当然独立した科として成立する。

A ヒゲナガハナバチはコシブトハナバチ科に属し、キマダラハナバチ類など、全く異なった姿が混在している。コシブトハナバチに属する個体が、翔脈が近似しているのなら納得できるのだが、ヒゲの長い個体に、翔脈が全く異なるものが出てきた。当館で「アカツメクサノケアシハナバチ」とした、足が長毛に覆われた個体と、翔脈が酷似した「ヒゲナガバチ」が現れたのである。

 当初、翔脈比較などしなかったので、足の毛が長いと言うだけでケアシハナバチとしたもので、飛翔した写真が多く、翔脈まで確認できなかった所為もある。今回、翔脈の分かる写真を見つけだし、そこで、他のケアシハナバチの翔脈と全く違っているのが分かった。

B 花バチの表紙に、花バチの翔脈比較を掲載したが、そこで明らかになったのは、髭長と毛足の個体に、ハキリバチの翔脈に近似したものが出てきた。毛足はアカツメクサノケアシハナバチとしたもので、髭長は前回更新後の2013年に撮影したヒゲナガハナバチである。アカツメクサノケアシハナバチについては、来館者の方のご指摘を多数受け、ヒゲナガバチのメスとする方もあった。

C ヒゲナガバチは、コシブトハナバチ亜科となっており、純然たるコシブトハナバチ科の個体であるが、髭が長くなったのは習性が起因していると思われ、「必ずしも、コシブトハナバチだからと言うことではないのでは?」。翔脈比較から分かった事は、「ハキリバチ系から髭長になった個体もあるのでは」と言うことで、2個体記録している。それとも、全く違った種類なのかもしれない。

D当館で「アカツメクサノケアシハナバチ」としてきた個体は、ケアシハナバチに属さない事が分かったが、コシブトハナバチにも属さないことも明らかになり、荒川独自の固有種などと、考えている。

ヒゲナガハナバチ類の翔脈 斑紋は3個

ミクリヒゲナガハナバチ2

シロスジヒゲナガハナバチ1

シロスジヒゲナガハナバチ2

ニッポンヒゲナガハナバチ1

ニッポンヒゲナガハナバチ2

仮称・アラカワヒゲナガハナバチ1

仮称・アラカワヒゲナガハナバチ2

ケアシハナバチ類の翔脈 斑紋は2個で前縁に接していない

シロスジケアシハナバチ2

ニッポンケアシハナバチ1

ニッポンケアシハナバチ2

シロスジケアシハナバチ

クロツヤケアシハナバチ

特異な翔脈 仮称・アラカワハクモウヒゲナガハナバチ1

仮称・アラカワハクモウヒゲナガハナバチ2

仮称・アラカワハクモウヒゲナガハナバチ3

仮称・アラカワコシブトヒゲナガハナバチ

ヒゲナガハナバチ類 仮称・アカツメクサノヒゲナガハナバチ♂1

仮称・アカツメクサノケアシハナバチ♀1

仮称・アカツメクサノヒゲナガハナバチ♂2 右と同種の可能性あり

仮称・アカツメクサノケアシハナバチ♀2