昆虫の判別について(見た目分類の勧め)

 昆虫の同定の基礎になるのは図鑑であるが、通常手に入る図鑑は昆虫学会の標本を元にしたものが多く、標本の写真を掲載するものもあるが、ジュニア図鑑など、絵柄で紹介するものがほとんどである。大きな個体であれば正確に写しとれるだろうが、ハチなどのように小さな個体では形状、色彩など、正確に写しとれてるとは言い難く、標本も変色して同様である。

 昨今、デジタルカメラが普及し、画素数合戦が展開されて、小さなものでも正確に大きく写し撮れるようになった。デジタル一眼レフカメラでズームレンズを使うと、実際の大きさの20倍近い大きさに写せ、虫眼鏡の域を越えて、正に顕微鏡並みの世界となった。ズームレンズを最望遠にし、最接近で撮影する事を心がけると、肉眼では見極めがつかないものがハッキリと見えてきて、標本写真や解説よりも明確な姿が表示される。10ミリの個体が200ミリになれば、1ミリが20ミリとなり、0.1ミリが2ミリになる。0.1ミリを虫眼鏡で判別文言で置き換えたものと、2ミリに映し出されたものを比較したのでは、疑義が生じても不思議ではない。図鑑では、しばし生殖器を確認しないと同定できないと記されている。さらに進んで、DNAを確認しないと答えが出ないということになり、捕獲が原則となってしまう。昆虫に興味を持った人が捕獲していたのでは、希少種など、こぞって捕獲合戦が展開され、絶滅させてしまう。昆虫も棲息域が減少し、同類の種がニアミスを起こすのが当たり前となり、常識を覆す生態系となっている気がする。特にハチは種類が多く、近似しているが、斑紋の異なる個体が次から次へと出てくる。それを個体差や変異と片付けるか、それとも亜種とするか、それを判定する機関が無いのが実情である。全国の昆虫マニアの撮った写真を判別する機関ができれば、膨大な基礎データを得られ、より精度の高い体系が出来、情報を公開すれば昆虫ファンを増やすことができる。昆虫学会の発展は、その辺に見出されるのではなかろうか